七草粥を食べて胃腸をすっきり、お肌も整えて、今年一年健康に!
松の内を過ぎた頃の日本の風習に七草粥を食べるというものがあります。
なぜこの時期に七草粥を食べるのでしょうか?そもそもどうして食べるようになったの?
食べるとどんな良い効果があるのでしょうか?意外と馴染みがあるようでそうでもない七草粥ですが
実はこんな意味があったのでした。
七草粥を食べる理由
七草粥は、春の七草と呼ばれる代表的な食材に、お餅などを加えて作る塩味のお粥(おかゆ)で、その一年の無病息災を祈願して食べる料理です。一説には、お正月のお祝い料理や祝い酒で弱ったり荒れたりした胃腸を休める効果があるとも言われます。起源は平安時代ですが、現在の形になったのは室町時代のことと言われています。
なぜ食べるようになったのか?という起源は不明ですが、七草粥に含まれる食材は全て、非常に高い栄養価と同時に、胃腸を整えたり、抗菌作用があるものが多く、長い休暇やお正月の飲食で乱れがちな体調を正常な方向に持っていく作用があるということを昔の人が経験から知っていたということですね。
食材の多くはどこにでも自生している、雑草だったりしますので、誰にでも作れる健康食だと言えますね。
七草粥の材料
七草粥には「春の七草」と「秋の七草」というものがあって、春の七草の材料は地方によってまちまちですが、おおよそこんな感じです。
セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ
☆セリ:セリとは白根草のことで、日本全国の山野に自生している、いうなれば雑草です。外見はミツバに似たものですがミツバとは異なります。生産地としては宮城県が全国一で、スーパーで売られているセリのほぼ6割は宮城県産のものです。
旬は春先の2月~4月、柔らかく若い茎葉の部分を食べます。きりたんぽ鍋に欠かせない食材です。ビタミンCやミネラル、βカロテンが豊富です。食物繊維でお腹スッキリの効果があります。お正月に荒れた胃腸を整えるのに役立ちますね。ちなみに生薬としての効果もあり、食欲増進、血糖値の上昇を防ぐという効果があります。
☆ナズナ:アブラナ科の越年草で、ぺんぺん草のことです。日本全国至るところに自生している雑草で、食材としては高血圧、解熱、利尿作用、、目の充血、腹痛、下痢などに効果があります。葉の形が三味線のバチに似ていることから三味線草とも言われます。三味線を弾くときの擬音語「ぺんぺん」からペンペン草と呼ばれるようになりました。食用としては花を付ける前の若い苗を利用します。果実の柄を引っ張ると皮一枚でぶら下がった状態になりますが、たくさんの実をこの状態にしてでんでん太鼓のように振るとちゃちゃちゃっと音がするのが楽しい植物です。子供の頃に遊んだ方も多いかもしれませんね♪
☆ゴギョウ:(御形)ハハコグサのこと。キク科の多年草植物で、4月から6月にかけて黄色い花を咲かせます。ビタミン群を多く含み、風邪の予防に効果があります。日本各地で生産されていて、また自生している事も多い草です。古くは草餅に使われていたもので現在ではヨモギが使われています。全体をビロード状の綿毛に覆われているいることから「ほおけ立つ」が転じてハハコグサとなったそうです。細かく刻んで干したものには咳止めの効果があるとされ、薬草の原料となっています。免疫力の増進、抗酸化作用があります。七草粥の他には、ハーブティーや、お餅に混ぜて草餅の材料や、素揚げで天ぷらなどで食べてもおいしい野草です。利尿作用も高いことからむくみの改善に役立ちます。
☆ハコベラ:ハコベのこと。ナデシコ科の二年草の野草です。2月~9月に白い花を咲かせます。どこにでも自生している、いわゆる雑草です。味わいとしては草独特の青臭さがある他はそれほど特徴のあるものではありませんが、色合いがとても鮮やかな緑色で、欧米ではハーブとして考えられているようです。味の淡白さに比べ、非常に栄養価が高い食材です。ビタミンBやCやを多く含みます。また利尿作用の高いサポニンが多く含まれるのでむくみの改善に役立ちます。
☆ホトケノザ:シソ科のホトケノザと間違われますが、七草に使われるのはキク科の「コオニタビラコ」です。初夏に黄色い花をつけるどこにでも自生している草ですが、七草粥には実を付ける前の若草を利用します。胃腸を整え、食欲増進と解熱の効果があります。別名と近種も多く、判別の難しい植物です。
☆スズナ:カブの事です。世界中で食べられる野菜のひとつで日本でも古くから食べられています。二十日大根などは子どもの頃に育てた方も多いと思いますが、大根ではなくてカブの一種です。糖分、βカロテン、消化酵素のアミラーゼを多く含みます。生産地は千葉県が最も多く、ついで埼玉県となっています。年間を通じて食べられる食材の一つですが、旬は11月~1月で、よく食べられる根の部分より葉の部分により多くの栄養が含まれますので葉も併せて食べたい食材です。特に葉の部分は葉酸やβカロテン、ビタミンCを多く含みカリウム、マグネシウムなどのミネラルも多く含む優良な食材です。消化酵素のアミラーゼと、ビタミンCのなどの作用により、胃腸をすっきりさせ、風邪の予防やお肌を整える効果が高い食材です。
スズシロ:アブラナ科のダイコンの事です。ダイコンは馴染み深い植物ですね。古くから日本でも食べられていて種類もとても多い植物です。全国で栽培されていますが、千葉や北海道のものが多いようです。ダイコンの旬は11月~2月で栄養の多くは根の部分ではなく、葉に含まれています。ビタミン群を多く含み、中でもβカロテンやビタミンE、Cやを多く含みます。また栄養成分に消化酵素の「ジアスターゼ」を含み消化の助けとなります。胃酸過多やいもたれ、胸焼けなどに効果があります。ちなみに胃腸薬の「タカジアスターゼ」はダイコン由来のお薬です。辛味成分はおろして酸素に触れると出てくる成分で、抗がん作用、抗菌作用があります。
七草粥を食べる時期と作り方
食べる時期は?
関東地方の場合ですが、1月6日の夜のうちに下準備をすませ、神棚にお供えします。七草粥は新年明けて1月7日の朝に食べるものとされています。
1月6日の晩に、49回野草を刻み、邪気を払うための歌を歌いながら調理するのが習わしだったとか。
簡単な作り方は
全ての材料をバラバラに集めると大変なので、スーパーや八百屋さんに行くと、この季節には「七草セット」なんてものが売っていますので、それを購入してきます。
基本の味付けは塩味ですがお好みで鳥だしなどで味付けをしてもOK。
材料:
七草セット
お米(1合)
お餅:小さく切ったもの数個
水(1リットル)
お塩(お好み)
七草セットは、細かく刻んで混ぜておきます。伝統に従うなら前日の晩に作業しておきます。
(実は刻んで一日置いておくと、成分が変化してより栄養価が高まるという話もあります)
1.鍋に研いだお米とお水を入れてさらし、置いておきます(1時間ほど)
2.鍋のお米を強火で沸騰させます。
3.沸騰したらお餅を入れてお米を軽くまぜ、蓋をして弱火で40分ほど煮ます
4.お米が炊きあがってお粥になったら材料の七草を混ぜてお好みでお塩を入れます。
盛りつけて出来上がり。
まとめ
七草粥は、シンプルなようでいて、実はとても多くの知恵が込められた食べ物でした。
特にこの季節に起こりがちな胃腸のトラブルや、風邪などの感染症に効果がある野草を集めてそれを温かいお粥にして食べるというのは、昔の人の知恵に脱帽ですね。
ご家庭でもそんな話をしながらご家族で健康を祈りながら日本の風習を楽しんでみてはいかがでしょうか^^