長引く風邪の原因は細菌感染?風邪以外の症状が疑われる場合について。
風邪の原因は90%以上がウイルスによるもので、通常は10日程度で回復しますが、それ以上たっても回復の傾向が見られない場合は他の病気の疑いがあります。いつまでも症状が収まらないで長引くときは放置せずに医師に相談しましょう。ほうっておくと重い病気に発展する場合があります。
風邪の原因は9割がウイルス感染
風邪の原因になるウイルスは100種類以上あると言われています。ほとんどの風邪はウイルスが原因で、多くのウイルスは冷たく乾燥した空気を好むため、日本の場合、冬場になるとウイルスが活発に活動するようになります。そのため風邪は冬場に多くなります。
ウイルス感染の多くは治療方法が無いか、効果が薄いため、ウイルス性の風邪の治療方法は症状に合わせた対症療法になります。点滴を打つと早く治るとか、注射をすると一発で治るとか言われますが、どちらも飲み薬と効果は変わりません。飲み薬よりも効くに違いないという心理的な効果はあると思います。
発熱を伴う風邪の場合、むやみに解熱剤を使うと免疫系の活動が抑えられてしまうため症状が長引くことがあります。免疫システムは37~38度くらいの体温で活発に働くため、平熱近くまで熱を下げる解熱剤はウイルスにとってはありがたく、免疫系にとっては厳しい状態になります。
ただし、39度以上になるなどあまりにも高温の場合はインフルエンザなど、他の感染症の疑いもありますので医師の診察を受けたうえで解熱剤を服用するようにしましょう。特にインフルエンザの場合は40度以上の発熱が続くとインフルエンザ脳症などを併発する場合もあります。小さいお子さんなどは大人にくらべると比較的インフルエンザ脳症にかかりやすいと言われていますので、急に高熱を出した場合にはすぐにかかりつけ医を受診しましょう。
ウイルス性の風邪の場合、通常は症状は10日ほどで回復しますが、それ以上かかる場合、特に1ヶ月たっても症状が続く場合は、風邪の原因はウイルスではなくて細菌である可能性が高くなります。細菌感染の場合、放置しておくと重度の感染症に発展する場合がありますので、10日たっても症状が続く場合は医師の診察を受ける必要があります。
細菌感染はウイルス性の風邪にかかり、抵抗力が落ちている時に二次的に感染して症状が続く場合もあります。
長引く風邪は細菌感染を疑う
ウイルスはとても感染力が強いので、通常の体力の場合でも感染することが多いのですが、細菌感染は通常は症状が出ることはまれです。ですがウイルス性の感染症にかかり、免疫、抵抗力が落ちている場合にはウイルスに引き続き細菌による症状が起こって長引くことがあります。
この場合、風邪をこじらせたなどと考えて、そのまま放置してしまうケースがありますが、抵抗力が落ちているところへの細菌感染ですので、肺炎や咽頭炎、扁桃腺炎などの細菌感染症の場合が考えられます。医師の診察を受けると抗生物質が処方されるケースです。
余談ですが、多くのお医者さんは通常の風邪の場合でも細菌感染を考慮して抗生物質を処方することが多く見られます。抗生物質の場合、処方された薬を全て服用するよう指導されるはずですが、多くの方は症状が収まると飲むのをやめてしまいます。そうすると一部の細菌が生き残り、耐性菌へと変化してしまうことがあり、昨今の医療現場で問題となっています。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)などがそうした耐性菌で、これらの耐性菌は新たな抗生物質が開発されるまで人の手で治療することは難しくなります。つまり大昔と同じで体力勝負となってしまいます。
抗生物質を処方された場合、症状が感じられなくても途中で服用をやめず、最後まで服用しましょう。
細菌感染の場合、ひどい咳や高熱を発するなど、通常の風邪よりも重い症状が見られル場合があります。高齢者などで体力が衰えている場合、最悪は死亡することもあります。実際、高齢者の死亡原因の中で肺炎はかなりの割合を占めています。
症状が長引く場合、特に熱やだるさなどの症状は収まっているのに咳だけが続くときは他の病気(咳喘息や肺疾患、気管支炎、食道炎)が疑われます。ひどい場合は入院が必要になったりします。
風邪で病院から薬を処方してもらったが、その薬を飲んでも症状がまったく変わらない場合、効果が見られない場合はできるだけ早く医師に相談して診察を見なおしてもらうなどしてください。
風邪じゃないかな?は以下の症状に注意
お医者さんからもらった薬が全く効かない。
かぜ薬を飲んでも咳が収まらない。
寝る前、早朝にひどい咳が特にでる。
アトピーや花粉症、アレルギー性の体質で喉に痛みや詰まりなどの違和感がある
食後、咳がひどくでて胸焼けがある。
咳の場合、一般の人は風邪かな?を疑いますが、多くの医師は咳は風邪以外の症状の現れだと見る場合が多いです。特に肺がんや食道がんなどを疑う医師もいます。
お医者さんは処方した薬が全く効果がない場合、血液検査など、より詳細な診察を行い診断を行います。この再診によって初めて病名がはっきりすることもありますので、よほど医師に不満があるなどの場合以外では、最初に診察をしてもらった病院に行くことをお勧めします。
風邪の症状は多種多様ですので、医師も一回の診察では正確に診断できないことは良くあります。ですのでもらった薬が効かないからと、ヤブ医者だと決めつけるのは早計です。より正確な診察を行ってもらうには同じ医師の方が良い場合が多いです。
他の病院に行く場合は、初めに処方された薬と薬局でもらう薬の説明書などを持参して、最初の医師がどのような診察を行ったかが分かるようにしてください。
まとめ
風邪の症状は様々ですが、ウイルスであれ細菌であれ、抵抗力が弱くなっている時に感染します。日常の生活では体温が最も低くなる睡眠中が実は最も感染の危険がある時間です。前述したようにウイルスは体温がある程度高いと働きにくくなります。低体温の方の方が体温の高い人よりも風邪をひきやすいのは、低体温の方がウイルスに好まれるからです。
ですので、特に睡眠中に体温が下がり過ぎないように腹巻きや血流を阻害しないレッグウォーマーなどでなるべく体を冷やさないように心がけるだけでもだいぶん感染の危険は減ります。
また、睡眠中は感染しやすいとはいえ、睡眠不足で体力が低下すればやはり感染しやすくなります。適度な睡眠と日頃から十分な栄養を取り、体力を落とさないようにすることが免疫力を高めひいては病気にかかりにくい体つくりとなります。
できるだけかからないように、かかってしまったら即休息して早く治すようにしましょう。