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さいたまに伝わる伝説・見沼の竜神伝説

      2015/12/20

各地方ごとに、それぞれ有名では無いかもしれないけれども、言い伝えというものがあります。誰が伝えてきたのかも分からないような小さなお話もあったりして、一つ一つのストーリーにはほっこりとするような味わいがあります。今回は地元さいたまに伝わる伝説についてお伝えしますね^^

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さいたまの水の守り神

「見沼の竜神伝説」というものがあります。さいたま市見沼区のあたりは昔むかし、竜神様が住んでいたと言われています。さいたま市のマスコットキャラクターの一つでもあるヌゥは竜のマスコットです。所々に竜のレリーフなどが残っていますので、訪ね歩きをしても楽しいかもしれません。

さて、どんな伝説かと言うと・・

見沼の竜神伝説

『時は江戸時代、時の将軍徳川吉宗の命を受け、各地を新田開発を行っていた井沢弥惣兵衛が見沼に訪れた時のこと、一帯見渡すかぎり全て沼というほどの広さであった見沼を田んぼに変えようとしたところ、弥惣兵衛の寝所に夜中に美しい女が訪ねてきて、「住処を追われては困る、新しい住処が見つかるまでしばらく手を止めてくれないか」とお願いをしてきた。弥惣兵衛は話を聞き入れず、工事を開始したところ、竜神は怒り、嵐を起こしたり様々な災害を起こし工事を妨害した。弥惣兵衛は流石に心労が募り病気になってしまった。その枕元にかの女人が現れ、「病気を癒やしてやるから、私の願いを聞き届けよ」といい、毎晩、弥惣兵衛を訪れた。弥惣兵衛は元気に動きまわってはいるものの、どうも生気を感じられない、このままではやがて死んでしまうのではと心配した家臣が、寝床を覗いてみると、なんと巨大は白蛇は弥惣兵衛に纏わりついてその体を舐め回していました。驚いた家臣は、弥惣兵衛にそのことを伝えると、「やはりか」と答え密かに弥惣兵衛は住居を移してしまう。弥惣兵衛の住居を知る者はほとんどおらず、女が訪ねてくることもなくなった。弥惣兵衛はようやく生気を取り戻し、干拓事業は完了した。住処を追われた竜神はやがて天に昇っていたという。』


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見沼の笛伝説

見沼村の周辺では、夕暮れ時になると、どこからか美しい笛の音が聞こえてくる。その笛の音を聞いた村の若い男は、音色に誘われふらふらと歩き出し、見沼で姿を消してしまった。笛の主は笛を吹きながら見沼を彷徨い歩く美しい女であった。夜の見沼は暗く、足元は広大な沼地である、一度迷い込めば昼間とてぬけ出すのは難しいところ、そこをもって夜中のこと、いかに屈強な男子であっても美しい笛の音にかどわかされ、さまよえば一度に行方がわからなくなっても不思議はない。さてもその笛の音は美しいことこの上なく、なんとも言えぬ妙なる調べであったという。

かすかな笛の音を聞きつけた若い男は魅せられてしまい、音のするほうへと吸い寄せられるように彷徨い歩き、やがて一人も戻ってこなかった。数十人のむらの男が消えてしまった村では、見沼の主が何か怨みを持ったために若い男を連れ去るのだと思い、見沼のほとりに塔をたて供養を行った。

見沼の笛伝説には異伝があって、笛の妖怪の話は都にまで聞こえ、腕に覚えのある武人が正体を確かめようと見沼の辺りを訪れると、なるほど噂に聞こえた美女が姿を現したのをたちどころに切りつけ、手応えを感じたがその場に残されていたのは竹笛一管のみであったため、この笛を大和田の鷲神社に納めた。

後日、鷲神社に老女が現れ、神官に願い込み竹笛を演奏したところ、周囲の男はたちどころに眠ってしまい、目を覚ました時には老女も笛も姿を消していた。付近の農民がその時の事を「美しい霧が立ち上っていき、そこから妙に優しい笛の音が聞こえた」と称したことからその老女は見沼の竜の化身ではなかったのかと伝えられている。

まとめ

伝承はいくつかあるものの、全て美女と笛が登場すること、その笛の音を聞いた男子は多くが行方不明となり戻ってこなかったこと、やがて武士によって退散させられ、後に笛を取り戻しに来るという点は一致している。

見沼の干拓事業と符号する点も多いことから、干拓事業前は沼地で、人の侵入を拒むほどの広大さを誇った見沼だが、やがて人の手によって開発が進むことで抵抗を見せていた自然の力も徐々に人の前に後退を余儀なくされるという事を現した伝記ではないかと思われる。

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 - 伝説, 空想・思想