子どもとのコミュニケーション、上手に話を聞けてますか?
2015/11/14
昨今は親子間の会話が少なくなっているといいます。特に父親と子どもの間にほとんど会話が無い家庭が増えているといいます。
多くの場合、父親は日中外にでて働くことが多く、子どもたちと接触する機会が少ないので、常時一緒に居る母親と比べるとどうしても会話時間が短くなってしまいますが、父親と子どもの間で会話が少なくなる理由は本当にそれだけでしょうか?
会話ができない理由
いつもいつも遅くまでお仕事で外にいるお父さんにとって、日々成長する子ども達とのコミュニケーションは成長するにつれて難しくなってきます。普段から密接に接している母親とはなんでも気軽に話ができても、朝と晩に少しだけしか一緒にいない父親と会話するときには少しよそよそしさを感じてしまうこともあります。
これは子どもが成長すればするほど顕著になってきます。2~3歳の頃であれば、たまにしか顔を見ない父親でもなんの抵抗もなく会えた喜びを全身で現してきますが、子どもが成長して、自我が確立されてくると、そこに照れやその他の複雑な感情が現れて素直にぶつかってくることも少なくなってきます。
母親に対しては素直にぶつかってくるのに、自分には何か壁を作ってるな、と感じる事があるのも子どもが成長しているからこそです。
人は大人でも子どもでそうですが、日常的にもっとも接触している時間が長い人に強い感情を持ちます、親しみの感情も最も普段接している人たちに対して持ちやすいものです。別の言い方をすれば慣れている人ということになります。
慣れている人であれば、どう接していいいか、こうすればああなるといったことがなんとなくわかるし、少しくらい会話がなくても不安になることはありません。ですが、普段接していない人が無言で目の前にいたら、なんとなく居心地が悪い気持ちがしませんか?
子どもも大人と同じで、一緒にいてストレスを感じにくい人の近くにいたいと感じるし、楽しく会話できる人と話をしたいと考えています。
子どもにとっては、父親というのは、忙しく外で働いていて朝と夜にしか居ない人です。
そんな人が、たまに口を開けば「勉強しろ」とか「テレビを見過ぎだ」とかお小言ばかりだと、子どもからすると一方的に自分にとって面白くない事を言ってくる人、という人物像として確立してしまいます。
ところが、子どもとの接触時間は変わらないか、もっと少ない父親でも、子どもとのコミュニケーションがとてもスムーズな人もいます。
同じくらいの時間、同じくらいの頻度でも母親と同程度に子どもとの関係を構築できる父親とそうでない父親の差はどこから生じるのでしょう?
話を上手に聞けていますか?
大人でも子どもでも基本的に同じですが、会話の基本はまず「話を聞くこと」からです。
「話の腰を折る」という言葉がありますが多くの男性はこの会話の腰を折るということを頻繁にやってしまいます。つまり、相手の話を最後まで聞かないということですね。
ひとつには最後まで聞かなくても相手の言いたいことが理解できるので、それ以上聞かなくても大丈夫だということで話の途中に自分が話始めるのです。これはビジネスの世界では比較的よく見られることで、同程度の理解力のある大人同士であればスムーズに仕事を進められるので有用ですが、家庭内で同じことをしてしまうと、冷たい、ぶっきらぼう、人の話を聞かない、と感じられてしまいます。
もうひとつ、子どもとの会話がうまくできない理由は、子どもの使う表現や語彙をその場で訂正してしまう事が挙げられます。これは話の腰を折るというのと同じで、子どもにとってはとても話にくくなってしまいます。語彙や用語の使用方法については確かに気になるのですが、あまりこだわらずに聞いてあげるという事が必要です。子どもに正しい語彙や用語を伝えるのは大人の役割ですが、それは学校の授業のような方法ではなく、日常の会話で、大人自身が使う言葉の中から子どもが自然に学ぶものです。語彙の不足は読書量がまだ足りないからで、多くの本を読んでいくにつれて増えていくものです。
そして最も多いケースと言えますが、話を聞いているつもりが、いつのまにか自分の方が延々と話をしているということがありませんか?
子どもが悩み事や失敗談をした時に、「お父さんも昔にこんなことがあって・・」から最後は精神論まで延々と続く話をしてしまい、自分はたくさん話しをしたからすっきりしているけれども、お父さんの長い話を聞かされたあげく、全然自分のことを話せなかった子どもからすれば、どっちが話を聞いてもらったのかわからないヨという状態になってしまいます。
これではそのうち子どもは父親とは相談もできないな、と思っても不思議はありません。
「父さんと話をしたって、自分のコトばかり話すじゃないか!」という心の叫びが聞こえてきそうです。
話を最後まで聞いてあげるには?
子どもと話をしていると、子どもが抱えている問題や、うまくない所などをついつい指摘して、それを解決させようとしたり、指導してやろうと考えてしまい、親である自分の意見を話そうとしてしまいがちです。
男性というものは得てして会話から解決を導き出そうとする傾向にあります。ですが、子どもは問題を解決して欲しいという気持ちよりは、ともかく自分の話を聞いてほしいと感じているものです。聞いてくれて話に共感をしてくれて、解ってもらいたいと思っているのです。
ですから、話の途中で父親が自分の意見を言おうとしたり、解決方法について解説を始めたりすると、「あ、自分の事を認めてくれていないんだ」と思ってしまいます。そして「やっぱりボクの話なんて聞いてもつまらないんだ・・」と思ってしまうと親の話を分かっても分からなくてもわかった顔をして話を終わらせようとしてしまいます。
子どもの話を最後まで聞くには、「お父さんはお前の話を聞きたいんだよ」という気持ちを態度で表してあげ、そして最後まで話しを聞いてあげる必要があります。
例えば、子どもの話の合間に、「うんうん」などの相槌を挟んだり、「それで?」などの先を促すような言葉をかけてやり、時には、子どものはなした内容をオウム返しで返事をするだけでもすごく聞いてもらっているという感覚を得ることができます。そいて、できるだけ話をしている子供の顔を見てあげると良いです。そうすれば子供は「お父さん一生懸命聞いてくれてる」と感じて、自分も一生懸命話そうと頑張ることができます。
話しの途中で、どうしても何か言いたい事ができても、ぐっとこらえて、「後で聞くことにしよう」と心に留め置いておくと良いです。
そして話を聞き終わったら、まず子どものいう事を認め、肯定してあげることから伝えてあげましょう。「○○くんはこんなことを考えていたんだね」「一生懸命話しができて偉いね」などの言葉をかけてあげればそれだけでも子どもは分かってもらったと思うものです。
何か言いたいことがあった場合は、最後に「○○くんはこうやったけれども、こういう方法だったらもっと良くなるかもよ」と訂正したり解決策を出す場合でも全否定をしてはいけません。
最もいけないのは「お前は馬鹿だ」とか「全然わかってない」「努力がたりない」など、人格を含めて全否定してしまう言葉を使う事です。
まとめ
大人だってそうですが、子どもは他人に認められたいと思っています。特に親に認められたいという気持ちは強いものです。子どもは褒められたり、おだてられたりしながら成長するものです。叱られ続けたり虐げられ続けた子どもは決してまっすぐ能力を伸ばすことはありません。
親としては、子どもを良く観察し、その長所を伸ばしてやることで自信をつけさせ、成長を見守るということが大切です。どんなに親が願っても、強制しても子どもは親の思う通りには成長しません。子供も親と同じ一個の人格を持つ人なのですから、それが当たり前ですし、最終的に自分の行く先は自分で決めなくてはならないのです。
親は、その子供が判断能力を身につけるまで全力で守り、いつか決断をした時には、その決断をそっと後押しして応援してあげるのが務めです。